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ラノベ『86』一巻の感想

評価ストーリー:[star rating=”5″] キャラクター:[star rating=”5″] 文章:[star rating=”4″] イラスト:[star rating=”5″] オリジナリティ:[star rating=”5″] 総合評価:[star rating=”5″]

 サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。

そう――表向きは。

本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。

死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。
二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!

電撃文庫公式サイトの『86』一巻紹介ページ:より引用

最近、電撃文庫の作品はあまり読んでいませんでした。

どうも電撃文庫のカラーは僕の性分に合わず、どちらかと言えばガガガ文庫のほうが合うんですよね。

というわけで、正直ノーチェックでした。

本屋に寄ったら、たまたま手に取っただけの作品。

ラノベでSF、しかもあらすじを読むとなかなかにハードな作風らしい。

鬼門と言われるSFで大賞を取るなんてどんな作品かな? と興味を惹かれたのが購入した理由です。

でまあ、読んでみたわけですが——こいつは凄いなと。

ストーリー

『最後の一文まで文句なし』という帯の文句は正しかった。

マジで凄いなあと。

ここまでやってしまうのかよ……。

完璧な『鉄血のオルフェンズ』という感想をどこかで見たのですが、ほんとその通りだと思います。

オルフェンズはラストが残念な結果になりましたが、こちらはオルフェンズの欠点を見事の解消しているといえます。

主人公達は人間ではなく家畜だから彼らが操縦する兵器——フェアドレスも無人兵器だというとんでもない理屈。

あまりにも暴論過ぎますが、奴隷制度が公式に廃止されて百年ですからね。

実際には奴隷制度は姿を隠して存在しているとも言いますし、人間の残忍さは追い詰められればいとも容易く弱者に向かう。

可能性としてはあり得るでしょうね。

圧倒的な絶望感。

人類の敗北は免れないけれど、そんなことはどうでもいい虐げられた主人公達。

彼らの生き様はカッコいいと同時に、人間の醜さが恐ろしい。

キャラクター

主人公とヒロインの関係が面白いですね。

お互い顔も知らず、特殊な通信機越しにしかコミュニケーションが取れない間。

しかしそこには信頼が生まれているというのが、ネットで繋がり合ういまの時代らしい作品だなと思います。

また主人公と一緒に苦楽を共にする仲間達もいいですね。

それぞれの戦闘スタイルが異なり、互いに上手くフォローし合っているのがいい。

主人公達は軍なので個別の戦闘スタイルなど捨てさせられるべきなのですが、86達に戦場を任せっきりの軍上層部はそのことにも気づかない。

文章

普通に上手いけど、ちょっと想像しづらいところがあるかな。

あと少しくどい。

二巻、三巻のほうが酷くなるのが残念なんですよね。

まあここら辺は新人だからしかたないのかもしれませんね。

イラスト

ラノベのプロでも担当されていたしらびさんです。

それと作品に出てくる兵器群のイラストは別な方が担当されています。

どちらも上手いですね。

オリジナリティ

人類ヤバいよ、全滅するよ。

という絶望感的な作品はSFの定番ではあります。

この作品は暴走した無人兵器が人類を滅ぼそうとしてくるので、『ターミネーターシリーズ』の方が近いかな。

しかしこの作品の最大の特徴は顔を合わせない主人公とヒロインが、通信機を通して心を通じ合わせることでしょうか。

この会ったこともない相手を信頼し、命を託し合うという関係は面白いですね。

しかも主人公とヒロインは直属の上司と部下という関係ですからね。

将軍と一兵卒ならば通信機越しという関係(それ以前に階級に差がありすぎて、接触することもないでしょうが)でも不思議ではありませんが。

また主人公を差別する母国は白人が多いため、主人公と仲間達は白人達のことを『白豚』と呼んでいます。

白人の蔑称として使われる言葉ですが、この作者がどういった意図で使っているのかは興味深いですね。

僕は一年間イギリスに留学した経験があり、最初の三ヶ月は現地の学校に通っていました。

色々と差別を受けましてね、おかげで白人憎し! という感情を持っています。

一時期はアニメで白人が出るだけで怒りを抱いたものです。

もちろん良い人もいましたし、皆が悪いわけではないんですけどね。

ただ不当な差別を受けた痛みは消えません。

時間が経ったので緩和されたので海外ドラマを普通に楽しんでいますけどね!

海外ドラマは日本の作品に比べて生ぬるくないのがいい。

この作者も同じようなものを抱いているんだろうなと思いましたね。

総合評価

電撃文庫の作品は久々に読みました。

しかも大賞作品を読んだのは何年ぶりかな? ミミズク以来だった気がするから十年以上かもしれませんw

ハードでミリタリーな作風が好きな僕からすると、正直ラノベは生ぬるい作品が多くて退屈なだと思うことが多いです。

ファンタジーとか基本的に嫌いですからね。

どうにも剣とかシールドと魔法というのが好きになれない。

この作品はそういう要素がない、ハードSFです。

僕にクリティカルヒットであり、嬉しいことに人気があるそうです。

ラノベは話が終わらないのに打ち切られることがよくありますが、人気があるので打ち切りの心配もあまりなさそうで安心しました。

まあ作者が諸事情で筆を折るという可能性は否定できませんが。

多分大丈夫でしょう!

総合評価は5点中5を付けたいほどの良作です。

面白かったです。

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