富士見書房の人気ラノベ『冴えない彼女の育てかた』の外伝漫画です。
詩羽先輩をヒロインにした作品で本編では負けヒロインとなった彼女ですが、『恋するメトロノーム』ではメインヒロインとして扱われています。
詩羽派の人たちには必見の漫画です。
内容も結構真面目で
ストーリー
詩羽ルートなので、まず最大の障害となるフラットさんは登場しません。
彼女が登場したら、もう詩羽先輩は敗北が確定ですからね。
恐るべき、フラットさん!
倫也が詩羽先輩専属の編集者となるのが、この作品の最大の特徴です。
正直、編集バイトとはいえがっつり編集業を任されるのはどうなの? と思います(しかも物語の最初のころは高校生)が、マンガなので細かいことは気にしない気にしない。
恋愛についてはとんでもなく下手な詩羽なので、色々とアプローチしてもことごとく失敗します。
しかも勝手な勘違いをして、自分が勝利していると慢心するところがらしいというかw
才色兼備なはずなのにポンコツなのが、詩羽先輩らしいですね。
倫也が強引に編集となりますが、話としては真面目です。
本編も創作についてあれこれ語っていましたが、こちらも色々と創作について語っています。
僕は作家志望なので結構勉強になりますし、色々と頷くところも多いです。
詩羽先輩の作品がアニメ化するので倫也が富士見書房側のプロデューサーにもなったりと、凄い展開になります。
まあ原作でも倫也はプロデューサーをやっていましたが、あっちは基本的に同人サークルがメインですからね。こちらはアニメ化、動くお金も億単位です。
キャラクター
詩羽先輩の素晴らしさはいまさら語ることもないでしょうが、もうひとりのヒロインである真由がいい味を出しています。
本編でも外伝小説でちらりと登場するだけですが、まさか彼女がヒロインとして登場するとは思いませんでした。
詩羽先輩もいいけど、真由も素敵なヒロインで倫也とも気軽に話せる間柄。まさか詩羽先輩は『恋するメトロノーム』でも敗北するの? と心配になったほど。
正直、最後まで詩羽先輩が勝つかどうかわかりませんでした。
まあそれもいいかもしれませんけどね。
詩羽先輩は敗北が似合……おっと、誰か来たようだ。
画力
漫画を担当された武者サブさんのうまさは一級品です。
角川の漫画家って一昔前は下手だとよく言われていたけど、いまは随分と上手い人が増えましたね。
ついでにいえば、ラノベのコミック化や外伝作品なんて酷い絵の漫画家が当てられてばかりいたのに、最近は上手い人が多くてビックリします。
まあ新人作家を育成させる意味があったんでしょうが。
世界観
『冴えない彼女の育てかた』と世界観は同じです。
ifルートなので倫也と詩羽先輩も後輩先輩の間柄。
学校での授業シーンやイベントがほとんどないのも変わりません。
ただし、加藤や英梨々をはじめ、本編のキャラクターはほとんど登場しません。
前述しましたが、加藤が登場したらヒロインの座を持っていかれますからね。
英梨々も絡んでくるとややこしいので省かれています。
オリジナリティ
創作について語る漫画は結構あります。
個人的に好きなのは島本和彦の『吠えよペン』とかですね。
『二次元JUMPIN』とかも好きです。
『アニメタ』や『アニメがお仕事』のようにアニメ制作について語っている漫画もありますね。
こちらは元アニメーターの方が自身の経験を元に描いている場合です。
ただ多くの創作を語る漫画は”漫画やアニメについて”語っています。
自分の創作の経験について語るのですから漫画家や元アニメーターが漫画やアニメについて語るのは当たり前ですが、『恋するメトロノーム』が扱うのは”ラノベ”です。
ここが大きな特徴だと思います。
原作者がラノベ作家でアニメ化した作家でなければ『恋するメトロノーム』は描けなかったはずです。
ここが『恋するメトロノーム』の最大の特徴だと思っています。
総合評価
詩羽先輩ファンにはもちろんのこと、新ヒロインの真由も魅力的です。
まさか詩羽先輩はこちらでも敗北してしまうのかと心配になり、ページをめくる手が止まりませんでした。
おかげで他の漫画に比べてさっさと読めましたね。
もちろん漫画としてもかなり面白かったというのが大きかったですが。
創作についても熱く語っていて、非常に勉強になりました。
僕のようにラノベ作家志望の人は一度勉強のために読んでみるといいかもしれません。
もちろん美少女作家とイラストレーターとのウフフなんてお話の世界なので期待してはいけませんがw
最後にひと言。
凄く面白かった!
次は真由ルートの漫画も作ってくれないかな。
熱烈希望です!